チューリッヒ工科大ら、異種半導体デバイスの無欠陥形成技術を開発

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

スイスとイタリアの共同研究グループが、種類の異なる半導体から構成されるデバイスを無欠陥で形成する新技術を開発したとのこと。任意の膜厚の構造をシリコン基板上に形成可能であり、幅広い用途への応用が期待できるとしています。

柱状シリコンの上に成長させた切子面のあるゲルマニウム半導体結晶配列のSEM画像。高さは8μm程度 (Image courtesy of ETH Zurich)

技術開発を行ったのは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校とCSEM(Swiss Center for Electronics and Microtechnology)、伊ミラノ工科大学とミラノ大学ビコッカ校の研究チーム。種類の異なる半導体によるデバイス形成には、最新の接合技術ではなく、通常の半導体製造プロセスで使われているデポジション技術によるモノリシックな結晶成長法を適用したといいます。

新技術では、サイズの異なる原子の層を積み重ねたときに通常現れる結晶欠陥を完全になくすことができるとのこと。また、異種材料間の熱膨張係数の違いによって生じる基板の反りもほとんどなく、熱的ストレスに起因するクラックの発生も起こらなくなるとしています。

この技術の基本的アイデアは非常にシンプルなもの。層の積み重ねによってデバイス構造を構成する替わりに、空間を埋めるようにして個々の結晶を配列していくのだといいます。結晶同士は、数十nmという狭い間隔をとって分離されます。

シリコンウェハーをエッチングして形成した柱状配列のSEM画像。高さは8μm程度 (Image courtesy of ETH Zurich)

構造形成プロセスは次のとおり。最初に、フォトリソグラフィによってシリコンウェハーをパターニングし、次にエッチングによって板チョコに似た構造を形成。板チョコの隆起した部分の幅は数μmとし、各隆起部を隔てる溝の深さを隆起部の幅よりも大きく取ります。隣り合う結晶と最小限に分離された条件下で、この柱状の基板上に所望の半導体の三次元構造を成長させることができます。

研究チームは、この方法を使って、シリコン基板上に無欠陥のゲルマニウム半導体構造を形成。高さ50μmのデバイスとすることに成功しています。将来的には、その他の様々な材料の組み合わせに対しても、この技術が適用できるようになるとしています。

モノリシックな半導体構造を無欠陥で形成するこの技術は、様々な分野で新規応用が可能です。特に面白い応用例として、高いエネルギー分解能を持つ超高解像度のX線画像検出器があります。厚膜のゲルマニウム吸収体はこの用途に最適であり、医療用X線画像診断において、より低線量での撮像が可能になるでしょう。

集光型太陽光発電や宇宙用途での高効率多接合太陽電池についても、この方法を用いることによって、高価で壊れやすく重たいゲルマニウム基板の替わりに安価で軽量なシリコン基板を使うことが可能になります。また、大面積のシリコンウェハー上にパワーエレクトロニクデバイスを形成するといった用途も考えられるとしています。


発表資料

おすすめ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...