MIT、光の吸収率が極めて高いメタマテリアルを開発。超高効率太陽電池へ応用期待

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マサチューセッツ工科大学(MIT)が、広範囲の波長の光を極めて効率良く吸収できるメタマテリアルを設計したとのこと。次世代の超高効率太陽電池への応用が期待できるとしています。

材料表面に金属層と絶縁層を交互に堆積させたテーパー状の隆起部を持つメタマテリアル。隆起部の各層において、その幅にマッチした波長の光が選択的に吸収される (Image: Yanxia Cui)

近年、ナノテクノロジーを駆使して作られる微小な人工構造「メタマテリアル」の研究が進み、物体を不可視化する「透明マント」や、光の波長限界を超えた分解能を持つ「スーパーレンズ」など、従来の常識を覆す技術への応用が可能になりつつあります。メタマテリアルを太陽電池材料に用いることにより、これまでにない高い変換効率の実現をめざす研究も活発に行われるようになっています。

光の完全吸収に利用されている薄膜材料は、吸収波長と入射角度が非常に狭い範囲に限られているものがほとんどであるとMITの工学設計研究者 Nicholas X. Fang氏は指摘します。これに対して、Fang氏らの研究チームが設計したメタマテリアルでは、くさび形の隆起部の幅を精密に調節することで、光の動きを遅くし、広範囲の波長と入射角度で捕捉できるようにしたといいます。

メタマテリアルは極めて薄くできるため重量とコストの低減が可能。また、上に向かって先細っていくテーパー構造には、内耳にある蝸牛殻に似た働きがあるとします。蝸牛殻では、狭い構造内の異なる部位がそれぞれ異なる周波数の音に応答しますが、メタマテリアルのくさび形も同様に、異なる波長の光を異なる深さで吸収するといいます。

この材料では、交互に積層した金属層と誘電体層(絶縁層)をエッチングして、ノコギリ歯状の構造を形成します。材料にかかる電界の変化により、偏光に対する応答性を変化させることが可能です。光の吸収率は95%以上となっています。

光の速度についても、真空中を伝わる通常の光の1/100以下に減速されるように材料設計が行われています。このため、材料内での光の捕捉がより容易になるといいます。

このメタマテリアルは、従来の太陽電池の製造に用いられる標準的な装置を使って容易に作製可能とのこと。今回発表した論文はコンピュータによるシミュレーションに基づくものですが、研究チームでは現在これを確認するための実験を進めているところです。

今回設計された材料は、太陽電池用途に加えて、波長選択性を持たせた高効率の赤外線検出器にも利用できます。さらに、材料の性質上、光の吸収だけでなく放出についても高い効率を得られるため、赤外線の発光を利用する熱電変換デバイスなどへの応用も考えられるとしています。なお、この技術は、原理的には、マイクロ波やテラヘルツ波など、波長域の異なる電磁波の吸収・放出にも拡張可能。可視光に適用することで、消費電力の極めて低い新型の高効率電球を作れる可能性もあるといいます。


発表資料

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「MIT、光の吸収率が極めて高いメタマテリアルを開発。超高効率太陽電池へ応用期待」への3件のフィードバック

  1. 金属層には金(膜厚15nm)、誘電体層にはゲルマニウム(膜厚35nm)を使っているようです。査読付き論文は有償ですが、arxiv.orgに査読前のものが公開されています (PDF資料)http://bit.ly/InRqjn

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