ペンシルバニア州立大、塩分濃度差発電を改良。海がなくてもどこでも発電可能に

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ペンシルバニア州立大学の研究チームが、海のない場所でも使える新型の塩分濃度差発電を開発したとのこと。逆電気透析(RED: reverse-electrodialysis)による塩分濃度差発電を、有機物を含んだ廃水を利用するバクテリア燃料電池と組み合わせることによって、場所を選ばずに発電と廃水浄化処理を同時に行うことが可能になるとしています。

逆電気透析バクテリア燃料電池の試作品 (Credit: Penn State Department of Public Information)

環境工学教授 Bruce E. Logan氏が進めているバクテリア燃料電池(MFC: microbial fuel cell)の研究については、このブログでもこれまで何度か取り上げてきました。今回の成果は、以前紹介したREDとMFCのハイブリッド技術をさらに応用し、海水の替わりに重炭酸アンモニウム溶液を使って塩分濃度差発電を行うというものです。

REDによって海水と真水のイオン濃度差からエネルギーを取り出す技術は、海岸付近での最も便利な発電方法ですが、イオン交換膜の組が多数必要になるという問題があります。そこでMFCの電極間に積層REDを組み込むことによって、より少ない数のイオン交換膜でエネルギー変換を可能にするのがRED内蔵型MFC(MRC: microbial reverse-electrodialysis cell)です。

先行研究では、自然の海水を使ってMRCが動作可能であることが示されましたが、かなりの浄水処理を事前に行わないと水に含まれる有機物でイオン交換膜が汚染されてしまうという課題がありました。また海水を使用すれば、MRCの稼働は沿岸地域に限定されてしまいますが、一方でバクテリアによる生物分解で利用可能な生ゴミ、家庭ゴミ、動物の糞などから得られるエネルギーは、米国全土で17GW程度にも上るとされます(通常の原発1基の出力が約1GW)。海のない地域でも、このゴミを発電に有効利用することが望まれます。

そこで研究チームは、海水だけでなく、重炭酸アンモニウムを使うことを考えました。MRC中では、重炭酸アンモニウム溶液が海水と同様に働き、またイオン交換膜を汚染することもないといいます。重炭酸アンモニウムは、43℃以上の温度であれば、水から簡単に除去することが可能。塩の構成要素であるアンモニアと二酸化炭素を蒸発させ、再捕集・再結合して再利用するといいます。

工業プロセスで消費されるエネルギーの7~17%は廃熱として捨てられているため、この熱を使えば、工場などがある場所ならどこでも重炭酸アンモニウムの再利用が行えると考えられます。

研究チームのテストによると、重炭酸アンモニウムを用いたMRCは、海水を用いた場合よりも発電量が多かったとのこと。

「電池内のバクテリアは、水に溶けた有機物を素早く分解し尽くしました」とLogan氏。「これらの溶解有機物は通常いちばん除去するのが難しく、その処理には散水ろ床を必要とするものです。粒子状物質はバクテリアによる分解に時間がかかりますが、こちらはもっと簡単に除去できます」 Logan氏によれば、従来の廃水処理が不要になることで60ギガワット程度の節電にもなるといいます。


発表資料

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