「タバコからバイオ燃料」 バークレー研究所が生成技術の開発めざす

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米ローレンス・バークレー国立研究所が、タバコを使ったバイオ燃料の生成技術を開発中とのこと。タバコの葉の遺伝子操作によって、太陽光を燃料用の分子に直接変換できる植物を目指すとしています。

研究チームのリーダー Christer Jansson氏。右手に持っているのがタバコ、左手のフラスコにはシアノバクテリアの炭化水素合成遺伝子が入っている (Image courtesy of Lawrence Berkeley National Laboratory)

バイオ燃料用の植物といえば、最も一般的なのはトウモロコシ。また、最近では食糧資源とバッティングしないスイッチグラスやススキなどの研究が進められていますが、タバコを使った例はこれまでほとんどないようです。

なぜタバコなのか? その理由として、研究チームは、タバコが100か国以上にわたる広大な土地で生産されていること、葉の面積が大きく燃料の貯蔵に向いていること、遺伝子操作が行いやすいことなどを挙げています。

これまでバイオ燃料の生成技術に関しては、解体したバイオマスを微生物によって発酵させることで糖を燃料に変える方法などが研究されてきました。一方、今回のプロジェクトではこれとは対照的に、空気中からCO2を捕集し、炭素から燃料を直接生成できるような植物を作りだすことが目標となっています。

研究リーダーであるバークレー研究所地球科学部門の植物生化学者 Christer Jansson氏は「発酵など燃料生成プロセスの下流部分を省略して、作物から燃料を直接生産したい」と話します。

「粉砕したバイオマスから炭化水素分子を抽出し、これをより短い分子に割り入れることによって、ガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料などを生産できるようにするんです」

炭化水素分子の生成に適したタバコを作るため、Jansson氏はシアノバクテリアが持っているある遺伝子に着目しています。それは炭化水素の一種であるアルカンを生成する酵素に関する遺伝子であり、これをタバコで発現しやすい形に合成するのがJansson氏のねらいです。カリフォルニア大学バークレー校の生物学者 Tasios Melis氏も、別種の炭化水素分子であるイソプレノイドを生成する緑色藻類の遺伝子に関して同様の研究を行っています。

これらの遺伝子のタバコへの導入、核磁気共鳴撮像法を使った植物中の炭素ボトルネックの特定や代謝工学の精緻化、アルカン生成遺伝子のさらなる探索といったテーマに取り組むため、様々な分野の専門家がこのプロジェクトに参加するといいます。

タバコに吸蔵される炭素量を可能な限り増やし、炭化水素の生成を最大化する研究も行われます。研究チームはここまでもまた、シアノバクテリアに注目しています。シアノバクテリアには、周囲の水から細胞内に効率良く炭酸塩を取り込む能力があるからです。Jansson氏は、この能力に関与している遺伝子をタバコの葉緑体に組み込もうと考えています。

Melis氏らカリフォルニア大のチームは、タバコの光合成能力の強化にも取り組むとのこと。これには、Melis氏が開発した植物の光捕集機構の操作技術が利用できるといいます。

研究チームは、最初の植物を18か月程度で育成したいとしています。プロジェクトの最終目標は、乾燥重量の20~30%が炭化水素となるような植物を生みだすこと。植物の栽培や、育成法・収穫条件の最適化などに関する研究はケンタッキータバコ研究開発センターで行われます。

なお、この研究は、米国エネルギー省 Advanced Research Projects Agency-Energy(ARPA-E)から490万ドルの助成金を受けているとのこと。ARPA-Eは実現が難しいかわりに見返りも大きい「ハイリスク・ハイリターン」なテーマに対する研究助成プログラム。


発表資料

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