MIT、再生可能エネルギー貯蔵用マグネシウム液体電池を開発。電極も電解質も液体

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、電極も電解質もすべて液体から構成されている液体電池の開発を進めているとのこと。低コストで実現できるため、太陽光発電や風力発電を系統電力網に接続する場合の電力貯蔵用途で利用できるとしています。

MITが開発した液体電池 (Photo: Patrick Gillooly)

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、気象条件による出力変動が大きく、電力品質が安定しないという特徴があります。このため、発電した電力をいったん蓄電システムに貯蔵し、負荷平準化してから電力網に流す必要があるとされます。

このとき最大の問題となるのがコストです。蓄電システムのコストをいかに低く抑えるかが再生可能エネルギー導入拡大のカギとなります。

液体電池では、1つの容器内に3種類の液体を満たし、それらが比重の違いから3つの層に分離することを利用します。各層に正極・電解質・負極としての特性を持たせることで、電池として作動させることができます。

MITの材料化学教授 Donald Sadoway氏らが開発している液体電池は、負極(上層)にマグネシウム、電解質(中層)に塩化マグネシウムを含んだ塩の混合物、正極(底層)にアンチモンを使用します。電気的特性と入手しやすさ、密度の差といった要素の最適な組み合わせを探索した結果、この材料構成にたどりついたといいます。動作温度は700℃とのこと。

放電時には、マグネシウム原子が電子2個を放出してマグネシウムイオンとなり、このイオンが電解質を通って負極から正極に移動することで電流が作られます。正極に到達したマグネシウム原子は2個の電子を再捕獲して通常のマグネシウム原子に戻り、マグネシウムとアンチモンの合金を形成します。充電時は、電池が接続された外部電源に駆動されて正極の合金からマグネシウムイオンが放出されます。これが負極に移動して、電子と再結合してマグネシウム原子に戻ります。

Sadoway氏はこの液体電池のコンセプトを、以前研究していたアルミ製錬の電気化学プロセスから思いついたとのこと。高温の電気化学セルの中で行われるアルミ製錬は、数十年に及ぶ工業レベルでの使用によって長期の動作信頼性が証明されており、非常に低コストで金属の生産を行うことができる技術です。液体電池の技術は「製錬所のプロセスを逆回しにしたもの」であるとSadoway氏は言います。

過去3年間、研究チームは液体電池の大型化に取り組んできました。最初の電池はウイスキー用の小さなグラスくらいの大きさでしたが、改良を重ねて直径3インチ・厚さ1インチのアイスホッケー用パック大の電池の作製に成功。現在テスト中の6インチ径の電池は、最初のバージョンに比べて200倍の容量となっています。

この技術の最終ユーザーとなる電力会社は、電池の材料やサイズなどは気にしていないとSadoway氏は指摘します。電力会社の唯一の関心事は、一定量の電力を貯蔵するときにかかるコストです。そして、コストが最優先課題となるとき、「元素周期表の中の大部分の材料が条件に合わなくなる」とSadoway氏は言います。

研究チームは、溶融した材料を溜めるための容器や、絶縁・加熱方法、エネルギーコスト削減のために動作温度を下げる方法など、あらゆる側面から技術を最適化する研究を続けているところです。

「私たちはすでに、電気的性能やコスト面を犠牲にせずに動作温度を下げる方法を見つけています」とSadoway氏。

Sadoway氏らは、液体電池の技術を商用化するための会社「リキッドメタルバッテリー」も設立。この技術が成功すれば、再生可能エネルギーに大きな変革をもたらすことができるとしています。


発表資料

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