「中国の電気自動車はガソリン車より有害」テネシー大らが報告

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電気自動車は環境にやさしいというイメージがありますが、「中国ではガソリン車より電気自動車の方が環境汚染による健康への影響が大きい」という報告を米国テネシー大学とミネソタ大学、中国・清華大学の共同研究チームがまとめています。電気自動車を走らせるための電力のほとんどが、石炭による火力発電から作られているためです。

急増する中国の電動車両。環境面ではガソリン車よりも有害とのこと (Shuguang Ji, Christopher R. Cherry et al. (2011) DOI: 10.1021/es202347q)

研究チームは中国の34の主要都市を対象に、自動車やバイクなどから排出される有害微粒子と、それらが健康に及ぼす影響を分析しました。その結果、通常考えられているのとは逆に、健康に害を与える微粒子状の汚染物質は、ガソリン車よりも電気自動車に起因するもののほうが多いというデータを得たといいます。

テネシー大の土木環境工学准教授 Chris Cherry氏によれば、今回の研究の特徴は、車両から放出される汚染物質について「実際に人間が被ばくする量」を比較している点にあるといいます。これまで行われてきた研究は、排出係数や温室効果ガス排出量の比較によって、環境への影響を評価していたに過ぎないとCherry氏は指摘します。

微粒子には、酸や有機化学物質、金属、土壌粒子、粉塵などがあり、これらは化石燃料の燃焼によっても発生します。電気自動車や電動バイクなどの電動車両の場合、燃料の燃焼による汚染物質の放出は、車両が使われる場所ではなく、電気が発電される場所で起こります。中国では、発電される電気の85%が化石燃料由来、そのうち90%程度が石炭由来であるとされ、電動車両を駆動するために作られる電力から放出される微粒子の割合は、ガソリン車よりも高くなります。

一方、発電所は人口密集地から離れていることが多いため、電動車両由来の放出物を住民が吸いこむ率は、従来型車両からの放出物よりも低くなります。しかし、それでも、その率は十分に低いとはいえないため、電動車両と従来型車両を同一の条件で比較することはできないと研究チームは報告しています。そして、大気汚染の影響という観点からみると、走行キロあたりの公衆衛生への有害性は、電気自動車のほうが従来型車両よりも高くなるとしています。

研究チームは、ガソリン車、ディーゼル車、ディーゼルバス、電動バイク、電気自動車という5種類の車両について、放出データや文献から求めた排出率を用いて健康への影響を見積もった上で、人間によって吸入される放出物の割合を計算。その結果、電気自動車の影響はディーゼル車よりは低いもののディーゼルバスと同等と評価。搭乗者数と走行キロで割ったときに環境面での健康への影響が最も低いのは電動バイクであるとしました。

今回の研究は、電動車両の健康への影響を評価するにあたって、被ばく量、放出物と人間との近さなどを考慮することの重要性を強調するものです。また、都市部の電動車両に起因する放出物の約半分が、農村部の低所得者によって吸入されていることも浮き彫りにしています。

研究チームが今回の研究を行ったのは、中国において急速な経済成長とともに電動バイクと電気自動車の利用者が増大しているためであるといいます。中国での車両の比率は、2:1で電動車両が従来型車両を上回っています。また、電動バイクの購入台数は過去10年間に1億台を超えています。これは中国以外の全世界の購入台数をすべて合わせたよりも多い数字です。


発表資料

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