スマートフォンでも使える小型の量子暗号技術、ロスアラモス研究所が特許申請

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米ロスアラモス国立研究所が、デバイスを小型化した量子鍵配送技術を開発。すでに特許申請済みとのこと。スマートフォンなどでも安全性の高い量子暗号通信ができるようになるとしています。

小型トランスミッタが通信信頼機関と交信し、情報のエンコード/デコードに必要な暗号鍵をランダム生成する (Image courtesy of Los Alamos National Laboratory)

QKarDと呼ばれるこの技術は、対称鍵方式の量子暗号通信の一種。送信者と受信者へ鍵を配送する際に量子力学の法則を利用するため、コンピュータ技術がどんなに進んでも第三者が鍵を盗むことが原理的に不可能であるといいます。

対称鍵方式の暗号化アルゴリズムは通信文の暗号化と復号に共通の鍵を用いるため、送信者と受信者がお互いに共通の秘密鍵を持っている必要があります。今日一般に使われている対称鍵配送では、鍵の安全を確保するために、解くのに時間がかかる数学的問題が利用されています。しかし、この方法では安全性を保証することはできず、また要求される数学的操作を小型のデバイスで実行するのが難しいという問題があります。

一方、量子鍵配送は、単一光子の偏向を利用して秘密鍵の生成と配送を行う技術です。高い安全性を確保できると同時に、計算に要求される条件が少なくなるのが利点です。

既存の量子鍵配送システムでは、架台に載せた大きな装置が使われており、ユーザー間をつなぐ専用の光ファイバー回線が必要で、通信距離も限定されています。鍵の配送とは別に、プロトコル情報や保護されたデータを送るための2本目の回線も必要になります。

QKarDの特徴は、こうした2本目の回線が不要であり、スマートフォンのような小型デバイスに適合するように技術を最小化していることです。通信デバイスが固定されている場合でも、移動体の場合でも使用可能だといいます。

QKarDを使った通信では、小型のトランスミッタで通信信頼機関と交信し、情報の暗号化と復号に必要な秘密鍵をランダムに生成します。スマートフォンで安全な通信を行うためには、まずユーザーAがパスワードまたは生体情報読み取りなどで認証を受けてから、QKarDを持っているユーザーBの番号をダイアルします。ここで、ユーザーAの手元にあるルックアップテーブル(暗号処理用のデータリスト)にユーザーBの情報があれば、QKarDは秘密鍵を使って安全な通信をセットアップします。ユーザーAのルックアップテーブルにユーザーBの情報がない場合は、QKarDが通常の携帯電話回線経由で通信信頼機関を呼び出して鍵を暗号化。通信信頼機関がその鍵を通信に適用するという仕組みが考えられます。

ロスアラモス研究所では、この技術がライセンス供与されれば、現在のセキュリティシステムに替わって、よりシンプルで安価なQKarDが、銀行取引、オンライン取引、入館管理、国境検問、デジタル著作権管理、電子投票などに使用できるようになるとしています。


発表資料

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