米国Semprius、高効率集光型太陽電池の低コスト生産技術を確立。再生可能エネルギー研究所が変換効率41%確認

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米国のベンチャー企業Sempriusが、高効率の集光型太陽電池を低コストで生産できる技術を確立したとのこと。Sempriusに研究助成金を出資している米国エネルギー省(DOE)管轄の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)では、Sempriusの太陽電池の評価を行い、変換効率41%超を確認。Sempriusは、ノースカロライナ州に建設中の工場で来年にも集光型太陽電池モジュールの量産を開始する計画です。

Sempriusの集光型太陽電池の屋外試験を行う再生可能エネルギー研究所 Keith Emery氏 (Credit: Dennis Schroeder)

転写印刷技術で低コスト化

Sempriusの集光型太陽電池は、ガリウム砒素(GaAs)の化合物半導体による三接合構造を用いており、セルのサイズが600μm径(ボールペンで書いた点くらいの大きさ)と微小なことが特徴。集光レンズを使って、微小なセル上に自然光の1100倍の太陽光を集中させることで、高い変換効率を実現するとしています。

セルを小さくすることで、モジュール面積全体に対するセル面積比を1000分の1に抑えてモジュールコストを低減できるといいます。また、セルの発熱が分散されるため、放熱フィンなど高価な熱対策機器が不要になるという利点もあります。

三接合セルの製造には、Sempriusが特許保有するマイクロ転写印刷技術を使用。これは、微小なセルを結晶成長用基板上で形成してからウェハーに転写する技術です。具体的には、まず原版となるGaAs成長用基板に仮の層を形成し、その上に多接合の太陽電池構造を成長。次に、転写印刷技術を用いてGaAs基板からセルを剥離してインターポーザウェハーへと転写します。この方法を使うことにより、数千個のセルを同時並行で転写でき、また原版の基板も繰り返し使用可能なため製造コストが劇的に削減できるといいます。

Sempriusの太陽電セル。再生可能エネルギー研究所で品質と変換効率についての詳細な調査が行われた (Credit: NREL staff)

Semprius幹部によると、この低コスト化アプローチで製造費用を50%まで削減可能であるとのこと。これに目をつけたエネルギー業界大手のシーメンスは、今年Sempriusの株式16%を取得して資本参加。Sempriusがベンチャーキャピタルから調達した資金は2000万ドルに達しています。

SempriusのCEO Joe Carr氏は、集光型太陽電池市場は今後9年間にわたり毎年2倍以上の成長を続けるだろうとコメント。2020年には市場規模10GW超に達するとしています。

2012年から量産開始

Sempriusは、イリノイ大学の John Rogers教授らのチームがマイクロ転写印刷技術を開発したところから始まる大学発のベンチャー企業。Rogers氏は当初、フレキシブルエレクトロニクス分野を想定して同技術の開発を行っていましたが、集光型太陽電池に応用した方が儲かりそうだということにすぐに気がついたといいます。

2010年、同社はDOEとNRELによる研究開発助成事業「サンショット・インキュベータ」の対象企業に選定されましたが、技術マネージャーのKanchan Ghosal氏によると、「モジュール現物を用意すること」という申請要件にも関わらず応募締切間際になっても小さなセルしかできていなかったとのこと。最初のモジュール試作品が完成したのは締切日のわずか2日前だったそうです。

このようにドタバタしながら始まったプロジェクトですが、今では大きな成果を上げつつあり、今年Sempriusではノースカロライナ州ヘンダーソンに敷地面積5万平方フィートの工場建設を開始。この工場には、州政府などが790万ドルの出資を行っており、従業員256名の雇用が予定されているといいます。

2012年に稼働する同工場の生産能力は当初5MW、最終的にはこれを35MWに拡大するとしています。生産されるモジュールのサイズは、面積24インチ×18インチで奥行き2.5インチ。集光倍率1100倍で変換効率31%超になるとのこと。モジュールコストは、量産効果によって化石燃料に対抗しうるものになるとみられます。


発表資料

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