チャルマース工科大、カーボンナノチューブを三次元積層チップのTSV配線に利用

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スウェーデン・チャルマース工科大学の研究チームが、カーボンナノチューブ(CNT)をシリコン貫通電極(TSV)の配線材料に用いた三次元積層チップを作製したとのこと。半導体デバイスの小型化、高性能化を進める技術として期待されます。

数千本のCNTが充填された配線を持つ2個のチップを接着剤で接合し、CNT同士を直接接触させる (Image credit: Teng Wang, Kjell Jeppson, Lilei Ye, Johan Liu. Small, 2011, Volume 7, pp 2313-2317)

これまで、TSV用の配線材料としては銅が使われてきましたが、銅配線には信頼性に限界があり、チップ昇温時の冷却性能にも問題があると指摘されています。CNTは優れた熱特性を持っているため、この点で決め手となり得る材料であると言えます。CNT(または原子1個分の厚さしかないグラフェンをチューブ状に巻いたもの)が大規模に利用できるようになれば、あらゆる導電性材料の中で最も信頼性の高い配線材料となるでしょう。

「潜在的には、熱伝導性と導電性の両面で、CNTは銅よりも優れた特性を持っています」と研究チームのKjell Jeppsson氏は言います。「また、CNTは機械的観点からもシリコンとの相性が良い材料です。CNTとシリコンの膨張率は大体同じくらいですが、銅は膨張する量が大きいので、シリコンとの膨張率の違いから機械的張力が生じ、破損の原因になります」

研究チームは、TSVによって2個のチップをCNT配線で縦方向に接続し、接合可能であることを実証。さらに同じ方法が、チップと実装基板との電気的接続にも使用できることを実証しています。

論文では、CNT同士の接触部において接触抵抗1.2×10-3Ωcm2、CNTと金電極の接触部では4.5×10-4Ωcm2という値が報告されています。

博士課程の学生 Teng Wang 氏は生産技術について研究しており、TSVに数千本のCNTを充填する技術を開発しています。CNT充填後にチップ同士が接着剤で接合されることで、CNT配線が直接接触し、チップ全体に電流を流すことができるようになります。

「難しいのは、完璧な特性を有し、チップを貫通するために必要な長さのCNTを作ることです」とWang氏は言います。「私たちは長さ200μmのCNTを作製しました。チューブの直径はわずか10nmです。しかし、特性については、まだ完全ではありません」

今回の方法を工業生産へ移植するには、製造プロセスの最高温度を450℃まで下げる必要があります。研究チームが作製したCNTの成長温度は最低でも700℃であるため、これは難しい課題です。

もしうまくいけば、電子デバイスの小型化と性能向上に関してまったく新しい可能性が拓けてくるでしょう。TSVによる三次元集積は、チップを並列して配置する従来の集積方法と比較して、信号転送速度の著しい向上をもたらします。さらに、CNTを用いたTSVによって、現在の銅配線技術よりも低コストでのデバイス生産が可能になります。

「産業界では三次元集積に関わるいくつかのプロジェクトが進行中ですが、それらは銅配線を用いているため、冷却と信頼性に関する潜在的問題を抱えています」とJeppsson氏は言います。「私たちの方法を大規模化することができれば、CNTを用いた三次元集積は5年以内に実用段階に入ると考えています」


発表資料

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